隙を突く人々。

隙を突く人々。

凪は散歩が好き。

散歩行こうかと声を変えると
行っくー!とすごい勢いであたしの腹に
諸手を突き刺しに飛び込んでくる。

そして嬉しそうにパタパタしながら
まずはトイレに駆け込んで用を足して
準備万端体調を整える。

 

保護犬 ボーダーコリー

凪にとっての散歩は「歩く」であって
排泄目的ではないので、出発前に
室内で済ませようとすることが多々ある。

もう1分待ってくれたらシーツ1枚浮くのだが、
凪のそういうところが素敵ーと思うので、
もうずっとそれでいい。

 

保護犬 ボーダーコリー

凪は黙々と歩く。

誰の置き手紙も読まないし、
上書き行為もほぼしない。

寄り道といえば門の向こうの犬小屋チェックと
駐車車両下の猫さん探しくらい。

とにもかくにも生の四つ足を探しながら
ずんずんずんずん歩くのだ。

 

保護犬 ボーダーコリー

凪はよその人との交流に興味がなくて
歩みを中断させられることを好まないので、

散歩中は極力話しかけられないように
今我々は前進に集中していますオーラを発して
お構いなく感をみなぎらせている。

ただ、そんな気を放っていても
つかまる時はつかまる。

 

保護犬 ボーダーコリー

昨夜も信号待ちの隙に通りすがりの人が
凪の前でピタッと足を止めて「何歳?」。

保護犬故に正確な年齢は不明です。

あら、保護犬?
何年一緒に過ごしているの?

4年です。

まぁそう、よかったねぇ。幸せねぇ。

 

保護犬 ボーダーコリー

12頭ものワンコさんと暮らしているという
とても品の良いグレーヘア世代の美人。

この春、白黒の狆を亡くしたということで、
同じカラーリングの凪に反応してしまったとのこと。

そうですかー。お別れは寂しいっすねー。

 

保護犬 ボーダーコリー

青信号を何度かスルーしているうちに
別のオニーサンも凪の前にしゃがみ込んできた。

カップルさんらしきオネーサンも参入して
えーすっごいかわいー。こんな子が保護犬?

ボーダーコリーですか。
なんかちょっと違いますか。
女の子ですか。とかなんとかかんとか
みんなで凪を愛でてくれた。

 

保護犬 ボーダーコリー

(相手さんが犬同伴でなければ)
あたし的にはこういう交流って
いいもんだなと思うけど、

凪は他人の手を拒むし、
歩きたい衝動のピーク迎えているし、
だいぶ困ってきたっぽいので、
ありがとうございましたーと
お礼を言って解放してもらう。

 

保護犬 ボーダーコリー

囲まれるのはちょっと苦手な
眠り王子の週末でした。